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膵仮性嚢胞 1

「膵仮性嚢胞の内視鏡治療ガイドライン」が日本膵臓学会より発刊されます。

原案を何回かに分けてご紹介します。

Ⅰ.疾患概念と病態

 1.膵仮性嚢胞とは?


膵嚢胞とは、膵内あるいは膵周囲に形成された中空の構造で、壁に囲まれた内腔に、膵液、粘液、血液などの内容物を容れたものをさすが、嚢胞壁内腔面に上皮細胞を認めないものを仮性嚢胞と呼ぶ。

腫瘍性嚢胞------漿液性嚢胞腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍、IPMN、MCNなど

非腫瘍性嚢胞----仮性嚢胞、先天性嚢胞、貯留嚢胞
  |
   |--急性仮性嚢胞……急性膵炎続発した仮性嚢胞
   |
   --慢性仮性嚢胞……慢性膵炎に合併し、確実な壁をもち、
                 先行する急性膵炎発作を認めないもの

急性膵炎後に滲出液が貯留する頻度は約40%で、最終的には約10%で嚢胞が形成されるとの報告があり、慢性膵炎における膵仮性嚢胞の頻度は30%程度と報告されています。
慢性膵炎の成因別にみると、アルコール性慢性膵炎では非アルコール性慢性膵炎と比べて仮性嚢胞の合併率が有意に高いとされています。

 2.臨床症状は?


膵仮性嚢胞の症状としては、腹痛、悪心・嘔吐、腹部腫瘤、黄疸、体重減少、消化管出血などがあげられています。

97例の検討では、腹痛72%、悪心・嘔吐38%、発熱7%、腫瘤6%、腹水5%、黄疸3%、体重減少3%、出血1%、偶然の発見4%であったとの報告があります。

 3.どんな合併症があるか?


膵仮性嚢胞の合併症には、感染、閉塞、破裂・穿通、出血がある。慢性膵炎急性増悪に合併する急性仮性嚢胞のほうが合併症をきたしやすく、大きさが6cmを超える場合はその発生頻度が高くなる。

慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞には、慢性膵炎急性増悪に続発して壊死組織や血液・滲出液などが線維性被膜で被包化されて形成されるものと、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が嚢胞を形成するものがあります。
この病態の違いにより、合併症の発生頻度には差がみられ、慢性膵炎後急性増悪での仮性嚢胞は壁の脆弱性や周囲の炎症性変化により合併症を来しやすいとされています。
合併症の発生頻度は、慢性膵炎に限った数値は明らかではないが、経過観察例の30-50%で重大な合併症が発生したとの報告もあります。
また、その発生率は仮性嚢胞形成からの期間にも依存するとされています。
特に急性仮性嚢胞においては、発生後6 週間を超えた嚢胞では自然消退は期待できず合併症発生率も高いことが報告されています。
嚢胞形成期間とは特に関係なく嚢胞径が6cm を超える場合には自然消退の可能性は低くなり合併症の発生が増えるとの報告もあります。

膵仮性嚢胞の合併症は大きく4 つに分類されます。


1)感染
:嚢胞内感染をきたすことがある。一般には慢性膵炎急性増悪後の
仮性嚢胞に起こることが多い。膵管狭窄などにより形成された慢性仮性嚢胞では感染をきたすことはまれである。

2)閉塞:嚢胞により消化管や胆道の閉塞を起こすことがある。消化管閉
塞としては一般的には胃・十二指腸が多いが、まれに下部消化管閉塞も起こすこともある。

3)破裂・穿通:腹腔内への破裂、消化管や周囲臓器(肝臓や脾臓)への穿通が報告されている。嚢胞内の膵酵素により消化管壁の脆弱化を招き消化管に穿通する症例はまれではない。

4)出血:嚢胞内出血に関しては、嚢胞壁の血管破綻によるもの、または周囲への炎症波及による周囲動脈の破綻や嚢胞周囲に仮性動脈瘤が形成され嚢胞内へ穿破することで嚢胞出血をきたすものなどがあげられる。

4.自然治癒はあるか?

慢性膵炎急性増悪に続発して形成される仮性嚢胞では嚢胞径が6cm 以下であれば自然治癒が期待できる。しかし、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞による仮性嚢胞では自然治癒はほぼ期待できない。

一般的な膵仮性嚢胞の自然消退率は4-60%と報告によって大きな幅があります。
慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞には、慢性膵炎急性増悪に続発して形成されるものと、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が嚢胞を形成するものがありますが、これまでの自然消退に関する報告は前者に対するものが多くなっています。
嚢胞発生から6 週間以内では40%に自然消退が認められ合併症発生率も20%程であったが、12 週を超えたものでは消退例はなく合併症発生率も67%であったがあり、長期間では嚢胞壁が成熟することが自然消退率の低下に関連しているとも考えられています。
一方、偶発症発生がなく長期間経過を見ることができた非手術症例での自然消退は60%程度に見られたとの報告がります。
これらの報告では嚢胞の径と合併症に関連した手術施行率を検討し、径 6cm 以下の嚢胞であれば自然消退を期待して合併症発生に十分注意しながら経過観察が可能とされています。
急性・慢性膵仮性嚢胞は問わず対象症例の約40%では保存的に経過観察が可能であったとの報告があるが、慢性膵炎に関連した仮性嚢胞では、合併症などにより何らかの治療を必要とした期間は平均13 週で、平均嚢胞径は7cm とされています。

慢性膵炎に合併した膵仮性嚢胞の自然消退に関しては一定の見解は得られていませんが、これまでの報告を総合的に考慮すると、膵仮性嚢胞の自然消退は嚢胞径が6cm 以下であれば出現してから長期間経過してもその可能性はあるものの、偶発症発生の観点からは嚢胞発生から6 週間以上経過した6cm を超える膵仮性嚢胞、および膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が成因の嚢胞に対しては、自然消退を期待せず何らかの治療を行う必要性が伺えます。

[ 2009/06/18 18:31 ] 膵臓 いろいろ | TB(0) | CM(0)
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