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大野病院事件報道 2

この裁判においては私が福島地裁判決理由要旨を読む限り

標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現している

医療行為が患者の生命や身体に対する危険性があることは自明だし、そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難だ。

本件患者の死亡という結果は、癒着胎盤という疾病を原因とし、過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果と言わざるをえない。

◎実際の医療現場で、標準的に行われている医療措置は、それを持って、罰であるとはいえない。

◎ガイドラインに則った標準的医療の結果、その結果が悪いからといって、罰であるとはいえない。


といった、当たり前のことを再確認したに過ぎないと思うのです。

前記事にも載せた各紙社説もそうですが、ご遺族が感情的な意見を述べることは理解できますし、、「医療安全調査委員会」制度の早期発足を促すのもだいじでしょうが、争点に挙がっていない事を大きく取り上げ、肝心の判決理由要旨について解説し、この裁判の持つ意義を述べているマスコミは少ないように思います。

この裁判では、加藤医師の行った行為が標準的な医療措置(ガイドラインに則った治療)であったかどうかが争われたのですが、判決に大きな影響を及ぼしたのは証人・証言の確かさでなかったかと思います。

 証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しいこと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。

 他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。

検察側証人C医師の証言は医療措置と理解することは相当でない。と、されたのに対して、弁護人側証人D,E医師の証言は、標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。と、されています。

前掲の読売新聞には実名で出ています。

 事件で問われたのは、女性の胎盤に対する処置。女性は胎盤が通常より低い位置にある「前置胎盤」で、産道につながる子宮口を完全に覆っていた。さらに「癒着胎盤」を起こし、胎盤を無理にはがすと大量出血する恐れがあった。癒着胎盤の処置を巡り、公判では「子宮摘出に移るべきだった」とする検察側と、「最後まではがすのが標準的な医療」とする弁護側が激しい応酬を繰り広げた。

 弁護側は、周産期医療の権威とされる池ノ上克(つよむ)・宮崎大医学部長と岡村州博(くにひろ)・東北大教授を証人に呼んだ。2人は「被告の処置に間違いはない」と述べた。

 これに対し、検察側の立証は押され気味となった。検察側証人の田中憲一・新潟大教授は「はがすのが難しくなった時点で、直ちに子宮摘出に移るべき」と証言したものの、どの時点で子宮摘出を決断するかについては、「そこは医師の判断」と断言を避けた。


検察側は腫瘍が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しい医師をなんとか見つけ出して証言台に多々下のに対して、弁護側は日本医療界の総力で支援されて、周産期医療の権威とされる2名の証言。
これでは勝負の行方は明らかです。

EBMを考えた産婦人科ガイドラインUpdate [改訂第2版]など、ガイドラインが出来ていますので、訴訟になったときはこのガイドラインに沿った判断・治療が行われていたかが、判断の目安になるでしょう。

このような事件では、医療という専門分野で過失があったかどうかを争っているのですから、私達にはわからないような専門的な議論が中心になっていると思ういます。それを、わかりやすく伝えるのこと、物事の本質を伝えることがマスコミの使命ともいえるんじゃないかぁと思うのですが、今回の判決後の報道にしても、マスコミはわざと目をそらしているのか、本当に理解出来ていないのかは不明ですが報道するメインテーマが斜め上を行っているように思いました。

地方紙ですが、神戸新聞は判決要旨を下の通り報じています。

また、同じく地方紙ですが北國新聞はこう述べています。

 検察側の判断によって高裁、最高裁までいく可能性が否定できない。が、福島地裁の判決はよくできている。すなわち、一刻を争う切迫した状況の下で、非常に難しい判断を迫られる医療現場や、医療措置の在り方から医師の判断に誤りがあったとはいえないとしている。

 子どもは助かったが、亡くなった女性は極めてまれな子宮に胎盤が強く癒着した例だった。が、処置の極めて難しい例でも、担当医が責任を追及されることが多いため、たとえば、昭和大医学部の産婦人科講座の岡井崇・主任教授は自らの体験もまじえた物語「ノーフォールト」を著した。

 医師に神のごとき完全さを求め、期待に反すると訴訟に踏み切る風潮に反省を求め、そうした風潮が結果として医師と患者の遺族を苦しめる現実を生み出していると指摘し、医療過誤がなくても遺族に補償を与える制度の必要性を提起している。


大野病院事件判決要旨 福島地裁 神戸新聞

 福島県立大野病院事件で、産婦人科医加藤克彦被告を無罪とした20日の福島地裁判決の要旨は次の通り。

 【出血部位】


 胎盤はく離開始後の出血の大部分は、子宮内壁の胎盤はく離部分からの出血と認められる。

 はく離中に出血量が増加したと認められる。具体的な出血量は、麻酔記録などから胎盤べん出時の総出血量は2555ミリリットルを超えていないことが、カルテの記載及び助産師の証言などから遅くとも午後3時までに出血量が5000ミリリットルに達したことが認められる。

 【因果関係】


 鑑定は、死因ははく離時から子宮摘出手術中まで継続した大量出血によりショック状態に陥ったためとしており、死因は出血性ショックによる失血死と認められる。

 総出血量の大半が胎盤はく離面からの出血であることからすれば、被告の胎盤はく離行為と死亡には因果関係がある。

 【胎盤の癒着】


 胎盤は、子宮に胎盤が残存している個所を含む子宮後壁を中心に内子宮口を覆い、子宮前壁に達していた。子宮後壁は相当程度の広さで癒着胎盤があり、少なくとも検察側鑑定で後壁の癒着胎盤と判断した部分から、弁護側鑑定が疑問を呈した部分を除いた部分は癒着していた。

 【予見可能性】


 手術に至るまでの事実経過に照らすと、被告は手術直前には癒着の可能性は低く、5%に近い数値であるとの認識を持っていたと認められる。

 被告は用手はく離中に胎盤と子宮の間に指が入らず、用手はく離が困難な状態に直面した時点で、確定的とまではいえないものの、患者の胎盤が子宮に癒着しているとの認識を持ったと認められる。

 癒着胎盤を無理にはがすことが大量出血、ショックを引き起こし、母体死亡の原因となり得ることは被告が所持していたものを含めた医学書に記載されている。従って癒着胎盤と認識した時点においてはく離を継続すれば、現実化する可能性の大小は別としても、はく離面から大量出血し、ひいては患者の生命に危機が及ぶ恐れがあったことを予見する可能性はあったと解するのが相当である。

 【被告の義務】


 被告が胎盤が子宮に癒着していることを認識した時点では、ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術などに移行することは可能だった。移行した場合の出血量は相当に少ないであろうということは可能であるから、結果回避可能性があったと解するのが相当である。

 検察官は、ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術などに移行することが本件当時の医学的準則で、被告は胎盤はく離を中止する義務があったと主張し、根拠として検察側証人の医師の鑑定を引用する。

 弁護人は、用手はく離を開始した後は出血していても胎盤はく離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合に子宮摘出をするのが臨床医学の医療水準だと反論する。

 本件では、胎盤はく離を開始後にはく離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察側からも被告側からも示されていない。検察側証人の医師のみが検察官と同じ見解を述べるが、同医師は腫瘍が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しく、主として文献に依拠している。

 他方、弁護側証人の医師は臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさがくみ取れ、臨床での癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際を表現していると認められる。

 そうすると、弁護側証人の医師の鑑定や証言から、用手はく離を開始した後は、出血をしていても胎盤はく離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血の場合には子宮を摘出することが、臨床上の標準的な医療措置と解するのが相当である。

 医師に義務を負わせ、刑罰を科す基準になる医学的準則は、臨床に携わる医師のほとんどがその基準に従っているといえる程度の一般性がなければならない。現場で行われている措置と、一部医学書の内容に食い違いがある場合、容易かつ迅速な治療法の選択ができなくなり、医療現場に混乱をもたらし、刑罰が科せられる基準が不明確になるからだ。

 検察官は、一部の医学書と検察側証人の鑑定による立証のみで、それを根拠付ける症例を何ら提示していない。

 検察官が主張するような、癒着胎盤と認識した以上ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術に移行することが当時の医学的準則だったと認めることはできない。被告が胎盤はく離を中止する義務があったと認めることもできず、注意義務違反にはならない。起訴事実は、その証明がない。

 【医師法違反】


 医師法21条にいう異状とは、法医学的に見て普通と異なる状態で死亡していると認められる状態にあることで、治療中の疾病で死亡した場合は異状の要件を欠く。本件は癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為によっても避けられなかった結果であり、異状がある場合に該当するとは言えない。起訴事実は証明がない。

(8/20 18:26)

[ 2008/08/21 13:34 ] いろいろ 日常生活 | TB(0) | CM(2)
どうして
地方紙の社説のほうが言及するべきところをきちんと指摘しているように思えるのだが
気のせいだろうか。。。
私の気のせいでなければ、全国紙の記者たちのレベルに疑問を感じますね
[ 2008/08/21 20:58 ] [ 編集 ]
私のいとこもマスコミ志望でしたが、大手TV局、新聞社に入れるのは優秀な人間ではなく、要領が良かったり、コネがあったり、あるいはミバがよい人間ではないのかと思ったそうです。(笑)
[ 2008/08/26 15:22 ] [ 編集 ]
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