スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

急性膵炎 疫学 2

3.急性膵炎の危険因子

1) アルコール

 60g/1日以上のアルコールを消費する高リスク群における急性膵炎の発生頻度は80~90/10万人/年であるが、この高リスク群がアルコール性急性膵炎を発生するリスクは、25年当たり2~3%にすぎない。アルコール性膵炎は男性に多いが、アルコール消費量を調整すると、発生リスクに性差はない。

 アルコールは胆石とともに急性膵炎の2大成因である。北欧14ヵ国におけるアルコール消費量と膵炎による死亡率との関連を認めると言う報告がある。ドイツのコホート研究によると、アルコール膵炎は圧倒的に男性は多かったが、リスクの高い患者群における急性膵炎発生率は、男女でほぼ同等であった。さらに、この高リスク群が25年間にアルコール性急性膵炎の発症には、アルコール以外の要因も深くかんよしていることが示唆されている。

2) 胆 石

 胆石のある患者が急性膵炎を発症する相対リスクは、男性で14~35、女性では12~25と言う報告がある。このリスクは、胆嚢摘出術により著明に減少する。

 胆石はアルコールと並んで、急性膵炎の明らかな危険因子である。米国でのコホート研究によると、胆石患者の3.4%が胆石性膵炎を発症し、胆石のある患者が急性膵炎を発症する相対リスクは、男性で14~35、女性では12~25であった。このコホートにおける胆石保有者の急性膵炎発症率は全体で6.3~14.8/1000人/年であったが、胆嚢摘出術により、急性膵炎を発症するリスクは男性で1.9、女性で2.0/1000人/年へと減少した。急性膵炎発生後に胆嚢摘出術を行った58例における膵炎再発数は2例のみであった。

 胆石性膵炎では、重症度が軽度から中等度でも、急性胆管炎が並存すると重症化する場合があり、注意を要する。特発性膵炎と思われた症例でも、その後の腹部超音波検査や胆汁検査で胆砂を認めた症例では、その後の膵炎の再発率が高いと報告されている。

3) ERCP/ES/EPBD

 内視鏡的手技の合併症としての急性膵炎がある。ESならびに治療的ERCPの急性膵炎発生頻度は1.6~5.4%、重症膵炎の発生頻度は0.4~0.7%である。1995年~1998年の4年間に厚生省の行った調査では、急性膵炎急性膵炎の発生頻度は1.9%であった。重症膵炎の発生頻度は0.1%、死亡例は1例であった。総胆管結石においてEPBDを行った時の急性膵炎発生頻度は5~20%と報告されている。
 ERCP術後膵炎発症の危険因子を調べた研究の分析によると、ERCPによる急性膵炎発症の危険因子として、Oddi括約筋機能不全、女性、膵炎の既往が判明している。

4) 手術手技および処置

 術後膵炎は膵近傍の手術、特に胆道系の手術や胃切除術後において発生頻度が高いとされている。胆道・膵・肝・胃の術後、脾腎シャント術後の膵炎、胃切除後輸入脚閉塞による急性膵炎が報告されている。また、心血管手術や移植術後の膵炎も多く報告されている。

5) 薬 剤

 アメリカで使用されている薬剤と急性膵炎との関連を調べた報告を統計的に収集した調査によると、多数の薬剤が関連が示唆されている。

6) 高脂血症

 血中トリグリセリドが1,000-2,000mg/dlを超えると発症率が増加する。このように顕著な高脂血症により急性膵炎が発症する症例は家族性の高脂血症に多い。しかし、このような高脂血症はまれであり、急性膵炎全体に対する寄与率は明らかでない。

7) HIV

 急性膵炎はHIV感染症の主な合併症の一つであり、HIV感染症が進行するに連れて、発症リスク時は高くなる。抗レトロウイルス療法が導入される以前は、HIV感染者による急性膵炎の主な成因は、1)HIV治療薬の膵毒性 2)HIV感染症そのものによる免疫抑制であった。プロテアーゼ阻害薬が発売後に、その副作用である難治性の高トリグリセリド血症の関与が示唆されている。

 急性膵炎はHIV感染症の大きな合併症の一つであり、HIV感染症のステージが上がるに連れ急性膵炎発症のリスクも大きくなる。HIV感染者では非感染者に比べて、急性膵炎発症頻度が、35~800倍高くなる。

8) 特発性

 急性膵炎発症の成因が特定できない場合を特発性とする。急性膵炎では、臨床症状・所見、適切な検査から可能な限り成因を同定し、特発性の頻度を少なくするよう努力されている。特発性と診断された急性膵炎症例の2/3から3/4は、腹部超音波、ERCPなどの検査、ドレナージや胆嚢摘出などの処置によって、胆嚢内に微小な胆砂を認めたという報告がある。

9) その他の要因

 その他の急性膵炎発症との関連が指摘されている因子としては、遺伝性素因、妊娠、外傷、ウイルス(ムンプス・コクサッキーB・B型肝炎・サイトメガロウイルス・ヘルペスウイルス)細菌(チフス菌・レプトスピラ・レジオネラ)、真菌、寄生虫、マイコプラズマによる感染症、全身性エリテマトーデス、間接リウマチ、シェーグレン症候群、全身性硬化症などの膠原病、上皮小体機能亢進症、末期腎不全などがある。
 肥満者の急性膵炎発症リスクは高く、重症化しやすいが死亡リスクには影響していない。
 さまざまな胆道奇形と急性膵炎の関係も指摘されており、急性膵炎患者の6.5%に何らかの先天的胆奇形が認められている。急性膵炎発症例や再発例で主膵管と副膵管の合流がない膵管癒合不全の頻度が高いとする報告もある。

 小児の急性膵炎も、成人と類似の成因で生じる。成人ではアルコールや胆石に由来するものが過半数をしめるが、小児ではその他の成因における急性膵炎の頻度が多く、成因は外傷、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、高脂血症、糖尿病、家族性トリグリセリド血症、透析患者、胆石、膵管癒合不全、胆道拡張症、感染など多岐にわたる。 

[ 2008/02/17 09:33 ] 膵炎 慢性膵炎 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://amylase.blog121.fc2.com/tb.php/264-c81c7f15




最近の記事+コメント
BBS

Twitter Updates

    follow me on Twitter
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。